企業としての強みの一つである経常利益の高い会社体制のルーツはどこにあるのでしょうか

ピンチを経験したからこその体制づくり

一番大きなきっかけは、2001年のBSE(牛海綿状脳症)の問題です。1990年代、日本はデフレで様々なものが今より安売りされている世の中でした。当社もその時代の波に乗り、800円だったハンバーグを400円へ大幅に価格を引き下げたり、効率を求めてこだわりであった肉の炭火焼きやサラダバーをやめてしまったりしていました。そこに、2001年のBSEが起こったことで今まで好調だった業績も一気に悪化し、当時は出店拡大も急速に押し進めていたこともあって社員を守れない状況に陥りました。

この経験を経て原点に立ち返り、商品に付加価値を付けてお客様にお届けすることで社員を守ることができる会社になろうと考えました。そこからは、サービス・商品の質を低下させない堅実な出店、炭火焼きやサラダバーなどのこだわりを復活、仕入れから提供までの内製化によるコスト低減など様々なことに取り組んだ結果、売上だけでなく経常利益も高い会社へと成長することができました。

ブロンコビリー代表取締役社長 竹市克弘
この経験から経営において大切にしていることは何でしょうか

従業員の物心両面の幸福を実現すること

やはり一番は社員を守るという点です。今回の新型コロナウィルスの影響は、飲食業界だけでなく様々な業界に大きな打撃を与えました。先ほどお話ししたようなBSEの経験から収益を保っておかないと社員を守れないという意識があるので、もちろんピンチではありましたが2年間ロックダウンになった場合でも従業員にお給料を出し続けられるようにと考えていましたし、1年間は自己資金で会社を保っていられる目処も立っていました。これらは高い収益性のもと成り立っていますが、誰のためかというと社員の皆さんを守るためのものなのです。

このどんなことがあっても社員の皆さんを守るという姿勢は、「物心両面の幸福を実現する」という経営目的にも関係しています。「物=福利厚生や給与」「心=やりがいや成長性、安心感」と捉えて、この両方が揃ってこそ社員が幸せになって、お客様にも満足頂けるサービスや食事、空間の提供ができると考えているので、この目的は長年ぶれずに持ち続けています。

ブロンコビリー代表取締役社長 竹市克弘
ブロンコビリーのこれからについて教えて下さい

「ご馳走カンパニー」でファンを増やす

このコロナ禍を経て「ご馳走レストラン」をつくるというビジョンから、「ご馳走カンパニー」をつくるというビジョンを持つようになりました。レストランはご馳走を提供する「場所」ですが、ご馳走カンパニーは食を通して人を幸せにする「人の集まり」です。ブロンコビリーを通して、食べる喜びや食の美味しさをもっと体現できる会社にしていきたいと思っています。

お客様向けのアプリサービスの提供を始めて分かったことがあるのですが、ある店舗でほぼ毎日ご来店いただいているお客様がいることが分かりました。その話を聞いたときは私も大変驚きました。その方にとってはブロンコビリーに来ることが生活の一部になっていてるということを考えると、質を高めて良いものを提供し続けていくことを店舗に落とし込み、ブロンコビリーと、ここで働く仲間をもっと好きになってもらえば、この方のようなリピーター(ファン)を自分たちで増やしていけるのではないかと思っています。